漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

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監修のオトシドコロ

NS両生類さんのコメントへの返信は昨日のエントリーの続きなので、ここで書いちゃいます。

観客全員が「なっとく!」と拍手されるような字幕というのはないんだろうな~と思っています。それを承知の上で監修などをしているのですが、何よりキャラクターと流れが自然になる、でいてジャマにならない最小限の日本語、これを探す翻訳者さんは芸術家!と感服です。

「ナショナルアイデンティティは抽象的」の箇所ですが、確かに、抽象的は曖昧でもよくて、直前まで悩みました。基本的には字数が少ない、という意味で曖昧に惹かれました。でもその後の「具体性」とのセットで役者さんの抽象的にOKサインを出しました。

国民と民族、これはやはり違って、いずれも政治的だと思うのですが、国民の方がより政治的、という意味で今回は民族を選びました。ちなみに、ヘブライ語で日本語の国民に当たる語はない、と私はほぼ確信しています。これは、考えるとハマリます!

アイデンティティ、これも困りますね~、論文でも困るのに、映画字幕はもっと困る。今回は「民族意識」からはじまって、結局「民族」の一言におさめました。「民族」この一言だけで、曖昧さ、歴史文化を共有する同一性(アイデンティティ)を感じられるんじゃないか、というのがポイントでした。

いずれにしても一本終えて、今日別の一本を終えました。別の一本は、す~っと入ってきたので、ヘブライ語の名前、地名以外コメントなしで提出になりそうです。

17日からの東京フィルメックスを是非!

http://www.filmex.net/index.htm
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COMMENT
どうもありがとうございます。

以前、映画『The Lord of the Rings』の戸田奈津子さんの訳が原作の愛読者達から手厳しい批判にあいました。多くの人に馴染みがあるとやり難いでんしょうね。逆に言うと、本邦でメジャーでない言語を訳すというのは、やり甲斐のあることですが、責任も大きいのですね。
二十数年前、教授の翻訳を手伝った時のこと。線虫の『body wall muscle』というのがありました。そのまま訳すと『体壁筋』ですが、当時はそんな言葉聞いたことがない。色々調べたけれど分らないので、えいやっ!と『体壁筋』にしました。これがずっと気になっていたのですが、年月が経ってこの同じ訳をあちこちで見かけるようになって安心しました(まぁ、このようにしか訳しようがなかったのでしょうけど)。
『The Lord of the Rings』や、ハリーポッターのように、キャラクターのイメージが読者によって出来上がっているようなものの映画に字幕を乗せるのは確かに難しいでしょうね。
戸田さんが字幕をする場合には、キャラクターの個性は表わさないことを意識している、と読んだことがありますが、それも読者/観る人によって多様なキャラクターを壊さないことなんじゃないか、と納得したことを覚えています。
イスラエルの映画のように、その映画ではじめてキャラクターと向き合うという場合には、そのような意味での批判というのは少ないと思うのですが、背景や社会的コンテクストをある程度は観客の方々に分かってもらわなければならないので、その点が難しいと思います。
監修というのは出来上がった字幕を観る、ので、字幕を作る訳者さんがやはり大変なんだと思います。
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