漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

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顔と顔をあわせる中東研究会

こうしてブログを書きながら言ったところで全く説得力がないのだが、顔と顔をあわせる場はやはり収穫が多い。先日、中東研究を専攻にする若手研究者(院生含む)が順番に発表する定期勉強会に出席したのだが、特に中東研究においてはそれが必要であることを改めて感じた。「院生になった秋吉久美子への思い」でも書いたことなのだが、基本的に同じ関心を持った者同士が同じ場に集まり、言葉を交わす、そこで得られるものは研究をする上で基本訓練。この研究会は、一人本を読み、パソコンの画面とにらみ合っている時間が多い私にとって、自分の状態を確認できる場でもあるので、特に漂流博士になって以降積極的に出席している。

私はイスラエルの人々とも政治的共同体としてのイスラエルとも長年かかわっていながら、日本での中東研究に関わるようになったのはここ数年のことなので、このような研究会に出席することは実は私にとって今でも新しいイベント。ヨルダン、エジプト、シリア、イラクなどの地域を研究する方々と私の間に、一体どんな共通の関心事項があるのかは正直未だによく分からないのだが、"あの地域"のことを日本語で冷静に議論する貴重な場であることには変わりがない。

中東は、それが断片的であって、せいぜい"あの地域"というぼんやりとしたものでありながら、一方で結構思い切った意見を持てる地域として扱われ、メディアはもちろん、研究者であってもどこまで根拠があるのか分からないことを「中東は...である」と平然と断定することが多い。そんな、イメージを支配しながら、また同時に支配されている"あの地域"中東の状況を目の当たりにすると、私はいつも違和感を越えた危機感に近い感覚を得る。一歩引いて冷めた視点で、かつ現場に接近して見る姿勢を失ってしまっては、それこそ危険な地域になってしまうだろうと思うからだ。そうした私自身の危機感を緩和しながら、現場に冷めた視点で目を向けられると思うのがこの研究会で、私も何度か発表の機会を頂いている。

先日は中東和平への日本のかかわりの歴史を学んだ。私は1990年以降は実体験もあるのだが、アラブボイコットを含むそれ以前のことはほとんど本で読む"むかしのこと"でしかなく、これまで私自身の歴史感覚では1990年代を境に断絶していた。ところが、先日その時代を実際に経験している方の話を聞いたことで、その1990年代を境にあった認識の断絶が少し解消された。同じ話をもし本で読んでいたら、と想像するとおそらくこれまでと変わらぬ"むかしのこと"でそこまでの収穫はなかったであろうと思う。その場には、他にもその時代を共有した方々も出席し、話がより立体的になったことで収穫が得られたのであろう。

現場を理解する、ということは何も現場に行けば解決するわけではない、と常々思っているのだが、逆に現場に行かなくても現場の理解を助ける学びは可能である、ということを学んだ研究会であった。
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COMMENT
共通の言葉を持つ(専門性が同じまたは近いという意味)仲間と話し合う機会は大切ですね。それで学会というのが形成されて行ったのでしょうが、そんな特別な場でなくとも日々の研究の場において同業者が近くにいるとやりやすいというか、楽しいですね。質問されたり批判されることで別の切り口が見えたり、もやもやとしていたものが具体的に見えてきたりします。ただ、同業者は競争者となる場合もあり、それだと面倒なのですが。
共通の言葉がどんどんその使用範囲が狭くなってしまう、ということだけは避けたいと思っていますが、気がつくとなってるんですよね。これからの研究は文系も理系も、できるだけ多くの人たちに浸透することだと思うので、共通の言葉は私も随分気を使います。特に、アイデンティティという言葉は最近多方面で使われている言葉でもある一方、一人歩きをしているところもあるので、自分の言葉でもあり、みんなの言葉でもあり、というところを見つけないと、と思っています。

私の場合まだ競争者と出会ってないのがむしろ不満でもあり、早くそうした出会いが欲しい、そのためにもっと出かけていかないと、と言うのが正直なところです。
こんにちは。Rosie@研究会遠距離参加者です。
先日はお疲れさまでした。H市では「約束の旅路」の上映、先週で
終わっちゃいました。
「時代を実体験してる」ってアタシのことかな(笑)。

また研究会で会いましょう。氏との議論を楽しみにしてます。
rosieさん

どうも、そんなハンドル名があるとは。

H市って、Haifaでしたっけ?にしても「約束の旅路」残念でしたね、でも結構評判がよかったのでまたアンコールでもしてくれるのでは、とちょっと期待しています。
「シリアの花嫁」も抜群にいいですが、その後結構いい映画が日本に来ているので注目ですね。

では、またお会いしましょう!
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