漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

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通勤電車研究法

通勤していた頃は一日3時間近くを通勤、しかも朝は満員の中で費やした。座れるはずもない路線の中で、立ったまま。何ともムダな時間、と思えばそれだけムダなので、有効に使おう、と軽めの本を読んで見たり、単語を覚えようとしてみたり、四年間いろいろと試してみたものの、結局たどり着いたのは「ボーッと何もしないこと」。論文を書くことに集中した昨年一年も、その通勤の時間が意外にも有効に働いた。

通勤時間と勤務時間以外で博士論文を書くことになったので、少ない時間で少しでも効率のいい方法を考えた。そこで、家で本や論文を読む時、マーカーや付箋をつけたり横にチョロチョロメモを書く代わりに、それらを全て箇条書きですぐにパソコンに打ち込み、論文ごとに著者名と論文名でテキストファイルを作ることにした。

短時間で論文を書く作業は、特急列車に片道切符で乗っているようなもので、「あっ」と前の駅に戻っていられない。「あれ、確かスチュワートホールの論文で"同一化"という言葉があったけど、、、あれ、どの論文だったかな?」と再び大量の紙をかき回すほどの余裕もない。今やデジタルの時代、全てデジタル化してGREPを活かした検索機能を使えば、"同一化"と入力すれば一瞬で求めるデータに到達できる。その手を使わないわけはない。しかも、打ち込みながらその文章を再び丁寧に読むことにもなって、頭の中にも言葉の一つ一つがしっかり入る。本を読みながら、引用に使えそうな文章、自分が気になったこと、それを論文名、ページ数などの基礎データを含めて全てパソコンに入力する、という作業をしばらく行った。

さて、研究は入力することではない。インプットすることも研究ではない。私は、本を読む作業を通して、自分が持っている情報や乏しい知識と反応して生まれてくるボンヤリした何かをつかんで文字にすることが研究だと思うのだが、私は持っている情報や知識が少ないし、その化学反応までにえらく時間がかかる。本を読むと同時にそうした化学反応をキャッチして、すぐに言葉にして論理的に話をするような人を見るといつも尊敬する。私の場合は本を読んでしばらく経って、ボーっとしている時に「ポコ」と化学反応が起こる。いつも時間差なのだ。

そんな私には、本や論文を読みながら入力するだけではなく、それをボーっと振り返る時間が必要なのだが、それには通勤がピッタリだった。周りの人に押し付けられて、ストレスの充満した車内という全くかけ離れた空間に身をおいて、グターッと窓の外を見ていると、フッと「!」とひらめく瞬間が何度となくあった。それを忘れないようにメモに書いて家に帰ってまたデータにして、という作業を繰り返すことで全体的な構想は作られていった。

通勤時間がなくなって3ヶ月近く。あれを懐かしいとは思わないが、そんな中でも研究ができたんだぞ、ということを今の自分に向かって一度思い出させたく、書いてみました。
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COMMENT
そうですね。
私もプレゼンについて考えている最中に『これは使える!』と、突然、ポワッと浮かぶことがあります。ところが帰宅してパワーポイントの前に向かうと、あれ…、何だったっけ…???と。

やっぱりメモが大切ですね。
ただ、なるべく荷物を持ち歩かないのが主義なので、そのスタイルとのせめぎあいです(笑)。
ポワッと浮かぶタイミングでよくあるのが寝る前の布団の中。博士論文書いているときは、その「ボワッ」を随分キャッチして助かりました。

メモの変わりにボイスレコーダーを使ったことがありますが、頭の中の「ボワ」を声で聞くと変な気分なのでやめたことがあります。やはり文字がいいですね。
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