漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

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ヒマシって知ってますか?

会社概要などは英語からの訳が多いのだが、今回は珍しくイスラエル人のコピーライターが書いたという質の高いヘブライ語からの翻訳が入った。天然成分での美容・健康製品を売り込もうというもので、細かい表現に工夫があってヘブライ語で読むといい文なのだが、それを日本語に直訳しても全くダメで、原文のヘブライ語にそりながらも、原文を突き放したような日本語探しに頭をひねる。美容、健康となると新しいボキャブラリーも必要で、それでも瞬時に調べられるオンライン辞書があるので時間はかからない。が、自分が何を探しているのかをちゃんと意識していないと、クリックしながらとんでもない方向にいってしまう危険性がある。

今回初めて目にしたヘブライ語קיק
オンラインの「ヘブ-英」辞書でひくと、castor-oil seedとある。そこでピンと来る人は来るらしいのだが、その直後にシェメンというoilにあたるヘブライ語があったので私はcastorが気になってしまってアルクで調べると、一番先に出てきたのがコレ:

【1-名-1】 海狸香{かいりこう}、カストリウム◆ビーバーの股間の臭腺から分泌される天然の香料。◆【同】castoreum

翻訳している原文のもうちょっと先に、リーヤハという香料にあたる単語があることを覚えていたのが幸い、勝手にビビンときてしまって、天然素材ってのはすごいな~、ビーバーの股間の臭腺から分泌されるものも使うんだー、と納得しながらもうちょっと読み進むと;

・castor oil
キャスター・オイル、ヒマシ油◆castor bean の油。種子は20-50%の油脂成分を含む。殻を取除き搾り取る。下剤、潤滑油、皮革のなめし剤、ブレーキオイルに使う。

と出てくるので、お、そうかそうか、ヒマシ油ってのは聞いたことがあるぞ、ヒマシ油か、それじゃ

ひ・ま・し・あ・ぶ・ら

とקיקを「ヒマシ油」に置き換えた。が、シェメンという油は直後に出てくるのを再び思い出し、「ヒマシ油」だと、「ヒマシ油油」になっちゃうぞ、ということに気が付いて「今日は冴えているな~」と自分をほめながら「油」の一文字を削除して「ヒマシ」に訂正。さらに、直前に「ホホバ、アボカド」とあるのだが、「ホホバ油」「アボカド油」と言うのはくどいし、「油」の意味は直後のシェメンに全て任されているので、「油」は一まとめがいいな、ヒマシ油も油とって「ヒマシ」でちょうどいいな、と非常にクリアーに論理的に説得力もあって納得してその一文を終えた。

翻訳文は少しでも多くの目がチェックした方がいいので船長に確認を頼むのだが、「ねえ、こんな感じでどう?」と確認してもらうと、

「全体的にいいと思うけど、ふつうはヒマシ油っていうんじゃない?」

と指摘が入ったので、よしよし、ちゃんとなぜ「油」を取って「ヒマシ」なのか解説しとかないとな、と説明をはじめた:

「アボカド、ホホバもいちいち油ってつけないじゃない、くどくなっちゃうし、その後の天然油脂にすべてかかっているんだからいいんだよ」

「そうか、でも普通はヒマシ油って言うから、ヒマシだと何か足りない変な感じだけどな~」

そう言われれば、「ヒマシ油」は聞いたことがあるぞ、とピンと来た時にすでに「ヒマシ」と「油」がセットになっていたことを思い出した。さらに、ホホバ、アボカドは油がつかないのに、ヒマシだけ「油」がセットになっている、その違いはなんだ?と瞬間的に法則性を求めると、、、分かってしまった、そうだ!ホホバもアボカドも植物性だけど、ヒマシ油は動物性なんだ、だから「ヒマシ油」って言うんだ!と頭の中で全てがスルスルとつながってすっきりして船長に言った;

「なるほど、確かにヒマシはビーバーの股間から出た臭気だかからできているんだしね、ヒマシ油がいいか」

「え?ヒマシってビーバーの股間から出た臭気なの?」

「そうらしいよ、だってこれはあらゆる天然成分使っているって書いてあるし、貴重なんじゃない?きっとその臭気がヒマシで、それを濃縮して抽出したのがヒマシ油なんだよ」

「そんなもの、化粧品に使うのかな?ホホバとかアボカドなら分かるけど」

と言われるとだんだん自信がなくなってきて、これは直接証明したほうが手っ取り早いな、とアルクを船長に見せる:

【1-名-1】 海狸香{かいりこう}、カストリウム◆ビーバーの股間の臭腺から分泌される天然の香料。◆【同】castoreum

「ほらほら」と自慢げに見せる、船長も「へぇ~」と一応うなずく、も下のほうに

・castor oil
キャスター・オイル、ヒマシ油◆castor bean の油。種子は20-50%の油脂成分を含む。殻を取除き搾り取る。下剤、潤滑油、皮革のなめし剤、ブレーキオイルに使う。

の、「種子」「殻を取除き搾り取る」が目に入っちゃって、ヒマシ油も植物性であることが判明してしまった。その瞬間、あんなに確信していた「ヒマシ=ビーバーの股間の臭気」説がヒュ~っとどこかに飛んでいってしまった。

「そうだよね~、まさかそうじゃないとは思ったけど、あんなに自信もって説明するから、そうなのかも、とちょっと考えたよ」

「ヒマシ=ビーバーの股間の臭気」説は頭の中だけで翻訳に決定的な過ちを引き起こしたわけではないのだが、ヒマシ油を使った化粧品を見るたびにとんでもない想像をしていたかと思うと、、、。

オンライン辞書を使って翻訳をする際の教訓:

1.辞書の【一】以外も見よ!
訳者として当然のことで、普段はちゃんとしているんですけど、、、

2.何を探しているか、ちゃんと確認せよ!
ビーバーの股間の臭気はcastoreumであって、castorではない。

3.想像力に任せるな!
人間の想像力は無限である、その怖さを知るべし

4.(一応)常識を軽んじるな!
ビーバーの股間の臭気が化粧品に使われるはずがない

4.第三者の目でチェックを!
間違いを見つけてくれるのは第三者の目である
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COMMENT
おっす、おひさしぶり。

頑張ってるね。数日前から、ブロク拝見させてもらってます。今回のはウケちゃったので、コメントさせてもらいました。

関係ないけど、パンダの糞ってとってもいい匂いするらしいよ。
ヒマシ油!
たいへん懐かしい言葉を聞きました。

私が小学生の頃、『楽しい小鳥の飼い方』という本に、小鳥の具合が悪いときに『ヒマシ油』を飲ませると書いてありました。
不思議なものがあるものだ、でもいったいどこで手に入れることができるのかと悩んだことを思い出します。

未だにどこで入手できるのか知りません。
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