漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

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未来に向かって

長袖シャツにパンツ、そして靴を履いた少年達7人がステージに上がる。6月下旬は充分夏のテルアビブ、歩く若者の「ドレスコード」はTシャツかタンクトップに短パン、そしてサンダルと決まっているので、シャツやパンツ、それに靴に身を包んだ少年達一人ひとりからは、今日はいつもと違うんだという強い気持ちが伝わってくる。トロンボーンの彼の前身ごろと袖にはしっかりとプレスがかかっているのが僕らの席からでもよく見える。テルアビブでそんなプレスのかかったシャツを身に着けているのは弁護士かハイテク系のビジネスマンのマイノリティなので、見ているほうも自然とピリリと引き締まる。

 26日、平均年齢20歳以下のジャズバンド「Organic Sound Unit」のライブがあった。イタマル・シャツというちょうど一年前に初めて耳にしたときから「ググッ」とわれわれのハートを掴んだ若干二十歳(当時は19歳)のサックス奏者が創設メンバーということ、そして、我が家の目の前の路上で演奏していた頃から「うまいな~、でも子どもだよ」と驚いたドラマーのオフリが参加しているということもまた楽しみの一つだった。イタマルはどんな音楽を目指し、どんな曲を書くのか、オフリはどれだけ成長しただろう、と多くの期待を抱きつつ、きちんとワンステージ通じて見てみたいというわくわく感で一杯だった。

管楽器5名、エレキベース、ドラムというユニークな構成の少年達がステージを埋める。そして、躊躇することなく演奏をし始めた音は、自信に満ちた、それでいて新鮮で、真っ直ぐに芽吹いている瞬間を見ているかのような希望を僕らに与えた。「一直線でストレート」そんな勢いと若さに満ちている。彼らは未来に向かって演奏しているんだ。今ではなくて、彼らの視線は完全に未来に向いている。10代ならでは勢いは、今から未来にもう踏み出してしまっているかのような勢いなのかもしれない、と一人ひとりのソロで強く感じる。

音と同時に彼ら一人ひとりの目にも意識が奪われる。舞台に立つことは当たり前だという目、これからもずっと演奏し続けるのだという目、そんな確信が強く感じられたからだ。そして、自惚れではない、絶対の自信。野球をやっていた頃、強いチームを目の前にした瞬間に圧倒される、滲み出す自信。それは練習だけでは身につけることのできない、いわゆる才能が生み出すオーラだ。そして彼らは笑顔を見せながら、楽しみながらそんなオーラを滲み出しながら、彼らの音を奏でる。美しく新鮮なステージに観客も大いに沸く。

そして、イタマル・シャツによるオリジナルの数々。一つ一つの音は自信がありストレートなのだが、曲としての音楽はものすごい幅がある。こんなメロディラインを10代で書いてしまうということを素直に驚いた。そして、何ともいえない郷愁をそそるウェットなサックスの音色、彼自身が持っている音の世界を再び耳にしてジーンとする。


真ん中がイタマル・シャツ(写真は船長)

専門的に音楽を知るわけではない僕らにとって、よい音楽かどうかの基準は、心をつかむかどうかという単純なもの。気がついたら、我をも忘れるような心の震えがあるかどうかだけなのだが、イタマル・シャツのつくる曲も音色も僕らのこころをしっかり掴んでくれた。彼の音楽の世界にしっかりと引き込んでくれたのだ。音楽家が観衆の期待通りに答えることは、観衆が思うほど簡単ではなく、それまでには苦しみがありとても難しいことだということを、過去2年間ライブ会場に足を運んで学んだ僕らは、当たり前のように彼の音楽の世界に引き込んでしまう彼の才能と可能性が素晴らしいことを改めて実感し、ますます希望を感じながら岐路に着いた。

おそらく、現在テルアビブで最も若く完成度の高いバンド。今年で25周年を迎えるレッドシージャズフェスティバルにも登場する予定だ。フェスティバル公式サイト

視聴のみならず、バンド紹介や写真の一つ一つに、自分たちの音楽をつくろうと言う堅実な姿勢が感じられる公式サイトも是非。Organic Sound Unit
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