漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

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「現場からの声」地震の取材受ける

夜も1時半になる頃、電話がなる。そんな時間普段は寝ているのに、今日は映画通訳の準備をしてたので、たまたま起きてはいた。けど、こんな時間の電話に「もしもし!」と普通に出るのは安売りのようで、とりあえず不機嫌に出る。

受話器越しに聞こえるこの雑音、国際電話だな、と思うと「すいません、ごめんなさいこんな時間に。まずは謝ります」と女性のヘブライ語。「今、夜中の1時半だけど。偶然起きてたけど一体何?」と安売りはイカンと不機嫌を続ける。「知ってるわ、こんな時間に電話してすいません。イスラエルのチャンネル10の者ですけど」とひたすら謝った後にようやく名乗る。メディアで働くイスラエル人独特のスピードとトーンで「今回の地震のことについて話して欲しいんだけど」といきなり本題に入った。

「あの~その時間掃除とかしていて気が付かなかったんだけど」
「まったく?二回目も?」
「二回目?余震でしょ?」
「いや、夜の11時半頃二回目があったの違う場所で」
「そういや、その時間はここでも感じた」
「どんな風に?物が落ちたりした?」
「いや、ただ揺れただけ」
「朝のは全く揺れなかったの?」
「そういえば、船長(とは電話では言わないけど)の実家があっちの方で、電話したらかなり長く揺れて怖かったって言っていたよ」
と知らぬ間に向こうのペースで助け舟を出してしまう、
「けが人は?家は壊れなかった?」
「いや、みんな無事、だけどかなり揺れて怖かったって」
「家族の名前は?」
「(一応苗字だけ伝える)」
「私の義理の父のお兄さんはまさに震源地でまだ連絡が取れないんだよ」
「大丈夫なの?」
「だから電話もつながらないし、分からないんだよ、現場はライフラインも確保できてないし、食事だってないんだから」

そんな地震なのに全く感じなかった私のコメントなんて全く説得力ないよな~と感じながら最後まで安売りはせずに電話は切れた。

5分位すると、

「すいません、邪魔すんのもう最後だから」と同じ局の別の人から電話がかかる。「そっちが夜中だって知ってるんだけど、ホントゴメン。今回の地震で原発について何か聞かなかったか、それだけ教えてくれ」ともう声が必死。

きっと彼も上司に言われて電話しているんだろうな、みんな大きなシステムの中で求められた仕事を達成するために必死なんだな、と思うと急に協力的な気分になってきてちょうど一時間前に見た「朝日新聞」の記事を参考に、「引用だけど」と断ってと少しだけ話す。

今朝のテレビをつければどこも「現場からの中継」。現場の住民はテレビだって見れず、食事だって手に入らない状況にいるわけで、不安な顔で中継しているカメラの向こうに立っている。イスラエルでは地震を感じなかった私のコメントが「現場からの声」に使われたのかもしれない。

本当の現場って説明したり、ご飯食べれないくらい切迫していて、「現場」なんて感じている余裕はないはず、「現場」は現場にいない者が想像力を欠いて一方的に決めるところ、そのことを忘れてはならない、と改めて思う。
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