漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

  

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ジャズからキッチンへ

我が家のテルアビブライフを豊かにしているのがジャズ・ライブ。若くて、熱くて、それに敷居が低いのがすっかり気に入って、お気に入りのアーティストも何人もいて、随分と出かけている。アーティストはほとんどが20代で、一見、その辺に歩いている兄ちゃんたちだけど、演奏を始めるとグッと会場をひきつける、レベルは高い。ライブ会場には中高生が多数押しかけているし、ある会場のジャムセッションでは、「え~この子が?」というあどけない少年が舞台でギターを奏でたりする。

僕等は外人特権(と我が家ではよく呼んでいる)で、すぐに顔が覚えられるので、そんな少年達やファンだけではなくて、アーティストとも随分と親しくしてもらっている。

その中でも、Yuval Cohenとは、彼が震災前の神戸に滞在して演奏活動をしていたということもあって、ライブのたびに言葉を交わしたり、個別にカフェを共にしたこともあった。若いイスラエルのジャズ界だと兄貴分となる僕等と同世代で、何より波長が合うな~という感じがしていい。

先週のライブの後に「木曜日は僕の子どもの日だから、海ちゃんと一緒に会おうよ」と彼が提案してくれていたので、年末真っ最中(そういうものはイスラエルには存在しないんだけど)の30日木曜日、Yuval Cohenの家に遊びに行くことにした。彼は5歳の双子の父親。二人は年長で、一年生の海とは年齢的にもちょうどいいし、まあ彼の子どもだったらきっと海と気が合うだろうという直感もあった。

その直感はばっちりとあたった。ドアを開け、我が家から持参した紙風船をポンポンと手で弾くと、子ども達は仲良く遊び始めた。

大人たちは、いつものライブの後の高揚感とはちがって、自宅でのんびりと、子ども達の笑い声をBGMに、ワッハッハ、アッハッハと喋っていたらあっという間に時間が経過。

「お、子ども達よ、そろそろオムレツを作ってあげよう、オムレツ欲しい人?」
「は~い」
とアーティストではなく父親の顔をしたYuvalに子ども達が元気に答える。
「大人たちもオムレツでいいかな?」
「じゃあ、、、ありがとう」
夕飯まで一緒に食べようということになったけど、その場がものすごく居心地がよくて、そんなに「わるいな~」という遠慮する気持ちもなく、案外自然と一緒に食事をすることになった。まあ、夕食と言っても、イスラエルの夕食は軽食だし(週末でなければ)、断る理由もない。
そうは言っても、船長と二人で座っているのも落ち着かないので「何か手伝おうか?」
と聞くと、Yuvalはニコニコして「ハカセサンはGood シェフ?」
「まあ、好きだけど」
「おお~すばらしい!じゃあ、ハカセサンお願いします」とサッと手を台所に向ける。
「ここに野菜もあります!ああ~助かった~お願いします!」
僕は、いとも自然に台所に立ち、たまねぎのみじん切りを始めた。
気がつくと、僕と船長が、他人の台所とは全く感じずに「バター取ってくれる?」「冷蔵庫から牛乳とって」とみんなの夕食を準備していた。
「おっかしいな~、何だか変だよな~」と船長と何度も言いながら、台所での身のこなし方とか、手の動きだとかはとても初めて立つ他人の台所とは思えないくらいに自然だった。

すっかり興奮状態の子どもたち三人と共にした夕食は、大笑いの連続で、ものすご~く楽しく、次は是非週末にのんびり会おう!と誓って帰路についた。

ジャズライブからキッチンにまで、初めて会ったときには想像もしなかった方向に僕らはいる。
彼は、妹のAnat Cohen、弟のAvishai Cohen(トランペット)と、3Cohensという兄弟ユニットを組んでいて、今月欧米ツアーに出かける。その前の6日にテルアビブでShai Maestroとライブ。彼のキッチンにたった後で聴く音は違って聞こえるかもしれない、楽しみだ。
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