漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

  

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芸術の秋のあっさり割引

昨日のニュースによれば、昨年の同じ時期の10月からの累積降水量が150ミリだったのに、今年は5ミリしか降っていないという深刻な水不足で、今年の雨季(イスラエルでは冬というけど、僕等からすれば、一年を通じて雨が降る可能性のある数ヶ月なので、雨季と言いたい)はこのまま水不足でしかも高温なのだという。

日本から戻ってきて3週間が経過するけど、目にした雨と言えば、ほんの一瞬「さらさら~」と降った程度で、気温も25度を越えている。朝晩は長袖でなければ寒いけど、日中は半袖短パンで充分という毎日なのだ。「冬はどこへ?」つまりは「雨は降らないのか?」という声がだんだんと真剣に心配する声に変わりつつある。

と、まだまだ夏ではあるけど、来週はテルアビブでピアノフェスティバル、その次の週はエルサレムで「中東のギター」ウード国際フェスティバルと「芸術の秋」満開というシーズンに突入した。

ピアノフェスティバルは毎年気になっているんだけど、知っている人がいないので今年もパス。ウードのほうは、アビシャイ・コーヘンの高校の同級生で、最近も一緒にツアーを回っているアモス・ホフマンというウード奏者(本当はギター奏者)の名前を見つけたので、よしっ!と行くことにする。ちなみに、アモスは、アバテ・ベリフン(Abate Berihun)というエチオピアから20年前に移住してきたサックス奏者で、「中東音楽とエチオピア音楽の出会い」と、おお~と魅力的な響きのテーマでライブをする。ベリフンは今年のレッドシーに出ていたけど、イスラエル人(エチオピア出身だけど、ユダヤ人なので移住してくると自動的にイスラエル人になるんです)だから、イスラエルで見れる機会を待とう!と思っていたのでチャンス到来で、もう一丁よしっ!

ウェブでチケットが見つからなかったので、新聞に出ていた電話番号へダイヤル。

「あの~ウードフェスティバルのチケットありますか?」
「え、、、っと(何かを見ている様子)あるよ。いつ?」
「24日」
「どっちよ、二つあるんだけど。中東エチオピア、、、」
「そっちです。」
「何枚?」
「一枚です」
「フ~(いきなりため息)、80シェケル(1800円くらい)」
「あの~The Cardを持っていれば割引って書いてあったんですが。」
「クチャクチャ(ガムをかんでいる様子)、えっと、じゃあ64にしてあげる」
「(カードの番号も確認しなくていいのかと内心思いつつ)ありがとうございます!」

とあっさりと64シェケルに割引になった。チケットは当日窓口でクレジットカードとIDを見せて受け取るという仕組み。これまでも同様に電話でクレジットカードで購入したライブチケットは同じ仕組みで、この時点でチケットを取ったという証拠は何も残らない。これだけ証拠として「書いたもの」が重要視される土地で、当日の当日まで手元に何もないというのは最初のうちものすごく不安だったけど、今ではすっかり慣れた。ちなみに、「The Card」を持ってきてね、とは言っていなかったので、この割引金額はもう確定なのだ!

さて、イスラエルの名俳優で「迷子~」の隊長役を務めたサッソン・ガバイ氏は本当に売れっ子で、舞台を中心に活躍しているんだけど「売り切れ」が多くてなかなかチャンスが訪れない。一度ガバイ氏本人の招待で見た「レインマン」が最後、もう一年半前のことだ。船長と「サッソンさんにも会いたいね~」と言っていたら、ちょうど「15日アンコール公演!」という記事を見つけたので、早速電話をする。

「あの~まだありますか?」
「あるわよ。何枚?」
「一枚です」
「あなた割引の対象?」
「え?」
「学生か兵士か、まあないと思うけど年金生活者?」
「いやどれでもないです」
「あら、そう。でも50%割引してあげる?」
「・・・(驚いて声が出ない)」
「200シェケルのところ100シェケルだけでいいから。クレジットカード番号は?」
と、またまたあっさりと、半額で購入してしまった!値下げには結構な体力を必要とするこの社会で(体力を使えば値下げできるというのもすごいのだが)、昨日と今日は、あまりにスムースに割引が成立した。

ここで生活するときに自分に言い聞かせていることの一つに、「本当に手にするまで、本当に実現するまで」油断しないことというのがある。久々に雨が降ったら雨漏りしてしまって舞台がびしょぬれで、ということだって、全くないわけではない。そういう非常事態にも、何とかかんとかで乗り越えるんだろうけど、とにかく、どんな舞台と音楽になるのか、今からいろいろな意味でちょっとドキドキである。
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再びスタート地点へ

また走り出した。次のスタート地点は4月8日のテルアビブマラソン。それまでに、20日の15キロレース、そして、2月19日は世界最低の地、海抜下400メートルに位置する死海でハーフマラソンを順次走っていこうという計画を立てる。家族プロジェクト第二段の始まりである。

日本も空前のマラソンブームだということを、今回の一時帰国中、あちこちで見たり聞いたりしたけど、テルアビブのランナー人口も結構なものだと思う。ついでに、自転車人口もずいぶん多いのには驚く、日本と比べると本格的な自転車はかなり高価なのに。

さて、日本でちょっと気になったランナーのファッション。テルアビブでは、ランナーのウェアがカッコいい、と言えるのは女性ランナーだけで、男性ランナーは、ランニングにランニング短パンというクラシックなウェアが95%で、上半身裸というのも全然珍しくない。一見したところ、女性は走ることとウェアを選ぶ楽しみを両立させていそうだけど、男性は基本的にマッチョイズムの延長線上にジョギングがあって、ガンガン走って気持ちよくなって、ついでにそんな姿を見られるのも結構すきすき、というナルシスト的なのが多い気がする。

そういうなかで、僕のように、長めのスパッツと結構ぴっちりぎみの上着に身を包み、さらに深めの帽子をかぶって、ガンガン走るわけではなくじっくりとゆっくり走る男性ランナーなんて珍しいなと自分では思うのだけど、実際のところ、どこまでそういう視線で見られているのかはよく分からない。少なくとも、僕は上半身裸では走らないし、そんな姿あまり見られたくはないと思う。

音楽を聴きながら走っている人も多いけど、僕は昔から音楽も聴かないし、基本的に何もしない、とにかく数メートル先を見ながらモクモクと足を動かすという方が好きなので、毎日走る場所を決めて、ジッとしながら走る。

ジッと走っていても、いろいろな感情は敏感に反応しているのだけど、いつも「いいな~」と思うのは、地中海沿いにしばらく長い間走っている時。信号もなく、邪魔になる車もなく、ただ大きく広い海の横を走っているというのはものすごく気持ちがいい。山と湖に囲まれて育った僕にとって、海というのは家族旅行で夏休みにしか目にできない特別なもので、これだけ海に近い場所で二年間生活してもそれは変わらず、その海を目の前に、自分の足で移動していると考えるだけで格別な思いになる。

まだまだ練習を始めたばかりなので、本当の格別な思いはまだまだ先だけれども、それに向けてまたこうして動き出せたということが、まずは嬉しくて。船長、海、また頼むよん!

祝「僕の心の奥の文法」!早速見ました!

昨日、東京国際映画祭でイスラエルがグランプリ受賞というニュースを聞き、早速テルアビブの映画館に見に行った。

ニル・ベルグマン監督の「僕の心の奥の文法」(Intimate Grammerヘブライ語も英語と同義で「ディクドゥーク・プニミ」)。個人的には、映画を見た後の感じも含めると、「心の奥の言葉」ともうちょっと踏み込んでいってしまってもいいような気がする。

2002年、ちょうどイスラエルの大学の日本語授業を受け持っていた頃、同じ監督が「ブロークン・ウィング」という映画で、同じ映画祭の同じ賞を受賞したという日本語の記事を、学生達と一緒に読んだことをよく覚えているけど、その時、数字の万の桁に悪戦苦闘する学生が、賞金はドル換算で一体いくらなのかを議論していたことがあったっけ。そう、ベルグマン監督は東京国際でV2!しかも主演女優まで同じ!
僕にとっては東京国際映画祭といえば「迷子の警察音楽隊」!何とも懐かしいです!

この映画は、デビッド・グロスマンというイスラエルを代表する作家が1991年に書いた同名の小説を映画化したということもあって注目度が高く、今回の受賞前から新聞でもラジオでもよく宣伝していたし、とても気になっていたので、いい機会だなと思って夜7時45分からの上映に向かった。

夜だから空いているかな、と思ったらドンドンと人が集まり、小さいながら劇場は一杯になった、やっぱり注目の映画のようだ。

とにかく、主人公の少年が素晴らしい!それに、一つ一つの場面や台詞がとても丁寧で、静かに流れるストーリーに引き込まれながら、同時に、何か胸の中のものがキュルキュルと音を立てているなと思ったらあっという間に終わってしまった。

もう一度見たいなというのが第一の感想。そして、キュルキュルと音を立てていたものがしばらく胸の中で続いていて、もう少し胸に耳をすませば、自分の思春期のこととか、大人になるということとか、そういう僕にとっての「心の奥の文法」を随分と刺激して、いろいろな心の中の反応が起こっていた。

大物作家の書いた小説が原作となっていることもあると思うけど、かなり質の高いヘブライ語の台詞が多かったのと、少年の台詞が時にものすごく早いので、正直、ネイティブでないと「??」と真空になってしまう場面がいくつかあった。でも、映画そのものの芸術度というか、監督の心意気みたいなものはしっかり伝わってきて、とてもいい映画だな、と素直に感じられた。

同じく今年の東京国際映画祭で上映されたらしいイスラエル映画の「パリから5時間」は、昨年イスラエル各地で上映されていて、僕も観たけれども、テレビドラマみたいで、特別何かが残るということは何もなかった、ことを思い出すと、「いい映画だな」と感じられた「僕の心ー」は人にもオススメしたい一作です!
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