漂流博士

仕事は仕事、人生は違うところにある。

  

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にっくきアラインも今では

夕方ミミから「明日の夜我が家に来ない?」と電話が入る。
このアパートの管理者である弁護士のアライン、また奥さんのミミから電話が鳴ると一瞬ドキリとする。だいたいは「パリからオーナーが来ていて、部屋を見に行きたいらしいけどいつがいい?」といった住人にはプレッシャーであることがほとんどだからだ。大慌てで大掃除をしなければならないのだ。壁は丁寧に真っ白なのでちょっとした汚れや傷が目立つので、どうしよう、ああしよう、とアタフタする。でもその時は違った。シャブオットという、乳製品を食べるお祭(正確には収穫祭や初果実の祭といったいろいろな名前がちゃんとある)なので、家にご招待してくれるというのだ。

我が家イスラエルに到着してかれこれ二年、すっかりとお気に入りのこのアパートに入居できるまでの始めの二ヶ月間はそりゃもう悪戦苦闘だった。弁護士のアラインという名前も口にしたくない、顔も見たくない、にっくきアラインめ!とまで腹を立て、一度交渉が決裂したのだが、二週間後に奇跡的に復活して最後には歓喜の握手で契約に至ったのだ。その弁護士アラインとは今や会うたびに僕のことを「息子よ!」とギュッと抱擁し、電話では「船長、海は元気か?俺の娘達によろしく伝えてくれよ」を忘れず、昨秋には娘ヒラの結婚式に家族で出席し、アラインの緩む涙腺を目の当たりにしてこちらがジーンときてしまったこともあった。

いつもは彼の弁護士事務所で会っていたので、自宅を訪れるのは初めて。テルアビブ北部の車で5分位の所の一軒家が立ち並ぶ閑静な住宅地。このあたりのゴチャゴチャと集合住宅が立ち並ぶうるささは全くなく、裏庭も芝生がきれいにかりとられて「わお~」の連続。

そこで、アライン、ミミ、息子のオムリ、そして5ヶ月前にフランスから移住したばかりというファビと我が家でミミ特性の乳製品をモリモリ食べた。ちなみに、アライン自身も26歳の時にパリからイスラエルに移住している。なので、彼のヘブライ語はフランス語の響きが混じっている。日本ファミリーとフランス+イスラエルファミリーでの食卓だった。

食事の途中でひょんなことから政治的な話に火がついてアライン、ミミ、息子と家族三人がまったく別の意見で大衝突、ヘブライ語勉強中のファビは「僕は言葉が分からない」と完全に傍観。僕はそれこそ微妙な立場なので、「新たな視点の提供係」を意識するも、何だかそれぞれ言いたいことを言うだけで生産性のない議論になるので、途中から聞き役に徹する。最後はみんな疲れきって自然消滅して、気がつけば11時を過ぎ海は寝てしまい、何だか僕も議論を聞いていただけで疲れきって、帰路につくことにする。

イランへの脅威、アラブへの不信感、犠牲者意識といった、最近の情勢を反映したこの三つの柱が大衆感覚を支えているのだということを帰りの車の中で一人振り返りながら実感する。

それ以上に、イスラエルに来て二年、あのアラインと家族ぐるみでお付き合いなんてあの時は想像もできなかったな、としみじみと思いながら夜のテルアビブの夜行の中を車を走らせた。
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